アメリカ爆笑旅行 vol. 1

先日、私の親友でもあり悪友でもあるYと、昔の旅行話で盛り上がって「また行きたいよね、楽しかったよね」と涙を流して笑った旅行話を、手記風にシェアしたいと思います。

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10コ上のYがめでたく50歳を迎えるにあたり、本人自らの記念として、ずっと行きたかったラスベガスとグランドキャニオン、そしてモニュメントバレーに連れてってくれと言い出し、数年かけて説得された。2016年、Yが50になったその年の秋に、しぶしぶ行ってきた。10日間のアメリカ西部旅行。グランドキャニオンは行ったことがあってもう一度行ってみたい場所ではあったのだが、ギャンブルに全く興味のない私は、ラスベガスには行きたくなかった。絶対に時間と金の無駄だと思いながらも、今回はYの50歳記念旅行。本人の希望通りにさせないと恨まれそうなので、仕方なく付き合うことにした。だが、連れてってくれと頼んでおいて、何もしないY。私は飛行機の往復チケットの手配、ホテル決めも全て一人で行った。Yはトレードマークの出っ歯を剥き出しにして「ありがとう!」と喜んでいた。

飛行機の座席は、あえて離して取っていた。約10時間もYと隣同士はキツすぎる。私は通路側の席。斜め前の通路側がY。時々振り返って私の方を向いてニヤつくY。相変わらず出っ歯だ。

機内での過ごし方にも大きな違いがあった。私はなるべく寝たい派。10コも年上のYは、映画鑑賞派。お互い、話もせず好き勝手に過ごしていた。

ずーっと寝て過ごしていた私が、急にパッと目を覚ますと、機内食の時間だった。斜め前のYがこちらを振り返り「さっき、おしぼり配ってた時は寝てたのに、機内食の匂いにつられて起きたの!?」と、カッカッカーと笑っていた。そうだ、そうとも。おしぼりは匂いがしないからね。機内食の匂いにいち早く反応する、食欲旺盛ぶりをここでも発揮。

まず飛行機が到着したのがカリフォルニア州サンディエゴ。ここで国内線の飛行機に乗り換える。入国手続き完了。ロサンゼルスへ向かいそこでまた乗り換えの予定。ロサンゼルスに着き、何も考えずみんなが向かう方へつられて行き、あるセスナ機のところでしばらく2人でボケ〜っと待っていた。そこで私の野生の勘が働く。「これじゃない!危ない危ない」慌てて乗り場を探し、余った時間でテイクアウトの中華料理を食べながら出発を待っていた。すごい量だよね〜と言って、黙々と完食。

最初の目的地ネバダ州ラスベガスに到着。辺りは真っ暗でどうしていいのかわからず、とりあえずタクシーに乗った。「警察24時」に出てきそうな怪しい街並み。隣のYは、口を半開きで車窓からの眺めを不安そうに見ていた。

最初に泊まったホテルは、超一流っぽいホテル。ラスベガスを贅沢に満喫してみたいという、Yの希望で手配したホテルだ。ほぼ全面大理石張りの大空間ロビー。だが、チェックインをするためのフロントがなかなか見つからず、約20分ほど探し回った。インフォメーションデスクを見つけてそこで聞いてみたところ、あっちだ、と指をさされた方を見ると、普通に正面玄関の先にあった。疲れがどっと出て、やっと部屋に到着した。

部屋は確か地上14階の、広い寝室の先にフワフワな長ソファー、ガラス張りのシャレオツなバスルームがある素晴らしいゴージャス感。興奮する私とY。お腹すいたから、何か買いに行って来ようとなり、隣のスーパーでお惣菜や酒、つまみを買い込んだ。身分にそぐわないその豪華な部屋、せっかくのその部屋で、アパート一人暮らし的な夜ご飯を共にした。

「ラスベガスの夜景って、すごいんだよね?カーテン開けてみようよ」とYが開けようとしたが、なぜかカーテンが動かない。何度も試みてみたが、びくともしない。疲れていて私たちはすぐに諦めて、明朝の景色を楽しみに、またバクバク食べて飲みまくった。

明朝、朝日がカーテンから少しだけ入り込む。もう一度Yが、カーテンを開けようとしていたが、やはり開かない。「何これー、ウソでしょ?」と出っ歯を出して奮闘していた。私はとっとと支度をしていて、カーテンのことなんて、もうどうでもよくなっていた。

エンターテイメントの街ラスベガスに滞在中、どうしても観劇をしたいと言っていたY。ホテルの地下の賭博コーナーにも入り浸っていたY。じゃあ観劇のチケットを買いに行こうと、街に繰り出した。安売りをしている専門店があったので、そこでオススメを聞いてみたところ、英語がわからなくても楽しめるからと、あるサーカスを勧められた。私はどちらかと言えば、ラスベガスならではで日本では味わえない、男性のストリップショーの方が楽しいんじゃないかと思ってYに話したら、意外にも抵抗があったのか、サーカスにすると言ったので、チケットを2枚買った。夜の部だった。

その日のディナーは、あらかじめ日本で直接予約をしていた某高級フレンチレストラン。Yたっての希望で、私が口コミを見て選んだお店だった。ラスベガスでもトップクラス、ドレスコードもややフォーマルもしくはフォーマルと書いてあったので、どーせアメリカのフォーマルなんて、と私はしまむらで買っておいたシャツとパンツに着替え、Yは珍しくノースリーブのワンピースなんて着ていた。予約時間になり、店内に入ると、愛想よくウェイターが近づき、ドリンクメニューを差し出した。「きっと、ウェルカムドリンクじゃない?」どれが良いのかわからなかったので、ウェイターおすすめのスパークリングワインにした。期待ははずれた。「ほほぅ、、1ボトル56ドルか、、まぁまぁな値段だね!カンパーイ」一気にグラスワインを飲み干したところで、席に案内された。

席について2人でキョロキョロしていると、他のお客さんのほとんどは超カジュアルな格好をしていた。タンクトップにホットパンツの若い姉ちゃんもいた。若干騙されたような気持ちで、アウェイ感半端ない。

ウェイターがやってきた。またさっきのドリンクメニューを持ってきた。「何になさいますか?」「え、、Yちゃんどうする?わかんないからさっきのボトルまだ余ってるから、それ持ってきてもらえばいいよね?」とYに確認。Yもそれでいいとのことで、ウェイターにさっきのを、と頼んだ。そして、グラスに入れて運んできてくれた。

メインディッシュやデザートなど細かく選ぶことができた。料理の味は本当に美味しく、驚いたのは盛り付けの素晴らしさ。特にデザートは、森の切り株や苔までもをすべて食品で細かく作り込んでいたのだ。巧みな技。「やっぱりすごいよね〜」Yはもう大満足。その後もスパークリングワインを三杯づつ飲み干し、ウェイターが「お水は要りますか?」と聞いてきたので、水を頼むと、evianが出てきた。「さすが一流だね〜、水はevianだよ!すごいじゃ〜ん」Yは感動しまくって、ご満悦だった。ここのお店にして良かったな、と思った。

いよいよお会計のタイミング。Yが「この旅行を全部手配してくれたから、ここは私の奢り!任せて!」と出っ歯を出していいところを見せてきた。「え〜〜っっ!?いや、それはいくらなんでも。。ここ、高級なお店だよ?ちゃんと割り勘にしようよ!」と言ったが、Yは「大丈夫、大丈夫!心配しないで。ここは私が出すって決めてたんだから。ホントにありがとね!色々段取りも大変だったでしょう?」と出っ歯を引っ込めぬまま言ってきたので、私はその厚意に甘えてみることにした。そしていきなりYがウェイターに向かって大声で「チェックアウト、プリーズ!!」と叫んだ。英語もマナーも間違っていたと思うが、フォローはできなかった。そして、なぜかそのイミフな英語を察知した一流ウェイターが、さささっとレシートを差し出した。その金額を見てYは、頭の中でドルを円に換算し出した。「え、。ウソでしょ、、」にやけた顔がシャッシャッシャッー!と出っ歯剥き出しで、声にもならない笑いが止まらない。「え!?いくらだって?奮発してだいたい一人3万くらいだったよね?」「これ完全にぼったくりだわ!何でこんなにかかるの?おかしい」と興奮状態のY。「さっきのスパークリングだって、1ボトルで56ドルじゃなかったっけ?」そして、ウェイターになぜなのかを聞いてみると…。「グラス一杯につき56ドルですが。。」(がび〜〜ん)そんなのどこにも書いてないし、てっきりボトルの金額だと思ってたわ〜い!しかもevianはサービスかと思いきや、一本につき8ドル。水なんていかにもサービス的な感じで出されたのに〜。つべこべ言ってねぇで払ってくれ〜と言わんばかりに笑顔を振り撒くウェイター。覚悟を決めたYは、楽天カードマンでお支払い。チップは10%、15%、20%から選べて、見栄を張ったYは、まさかの20%を選んだ。トータル2人で約12万。。。「また頑張って働くよ。。。」笑いながら呟いたY。50歳記念パーティーは、こうして幕を閉じた。

ディナーを終え、そそくさと歩いてホテルに戻りいつもの服に着替えると、今度は例のサーカス鑑賞に向かった。かなり混雑していて、Yが「きっと、人気なんだよこれ。楽しみ〜〜!」とワクワクしていた。そしてショーが始まった。さすがラスベガスだけあって、舞台も演者も一流だ。最初は真剣に見入っていたが、2人とも疲れが溜まっていたのか、途中からラストまで爆睡していた。「やっぱりストリップの方が面白かったんじゃない?」と私。「かもね〜。これイマイチだったよね、おすすめしてきたくせに、あの店員!」Yはホントに勝手である。

その夜、Yはまたホテルの部屋のカーテンを開けようとしていたが、カーテンは頑なに閉じたまま。「これ、一体どうなってんのよ!最後のラスベガスの夜なのに!!」Yはマジで言っていた。私はベッドに横たわり、翌日泊まるホテルを探していた。この旅行は行き当たりばったりを楽しむ旅だったので、最初と最後に泊まるホテル以外は、予約しないでおいたのだ。 スマホにつきっきりの私の隣のベッドで、仰向けで爆睡しているY。なんだかイラッときて起こしてみたりした。

翌朝、ラスベガスを発つ日。支度をしていると、壁に何かのスイッチがあった。「何だろこれ。。」タイムボカンのようなスイッチを私が押すと、カーテンがいきなりグイーンとゆっくり開いた。Yが「え〜〜っ!!電動だったの〜!?なにそれ〜〜!!ウソでしょ〜〜!?」そして目の前には期待していたラスベガスのキラキラした街並みではなく、裏側の地味な山並みが見えた。「え、、ここラスベガスだよね?ウソでしょ〜〜!?」Yは大騒ぎをし、そしてケタケタと出っ歯丸出しで笑ってしばらく外の眺めを見つめていた。こうしてそそくさと高級ホテルをあとにした私たち。次はグランドキャニオンを目指してレンタカーを借りに、空港に戻ったのだった。

つづく

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